『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』とは?|どんな映画?
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、スパイアクションの金字塔「ミッション:インポッシブル」シリーズの第6作目にあたる作品で、トム・クルーズ演じるエージェント、イーサン・ハントの活躍を描いた超大作です。
本作の魅力は、シリーズ屈指のリアリティと緊張感あふれるミッション展開にあります。過去作との繋がりを色濃く引き継ぎながらも、初見でも楽しめる構成となっており、息をのむようなアクションと心理戦が高次元で融合しています。
もしこの映画を一言で表現するなら──「アクション映画の頂点を極めた、スパイサスペンスの集大成」。
ハリウッド最高峰のスタントとスリルが詰まった本作は、ただの娯楽を超えて“映画体験”そのものを再定義する作品です。
基本情報|制作・キャスト/受賞歴・公開情報
タイトル(原題) | Mission: Impossible – Fallout |
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タイトル(邦題) | ミッション:インポッシブル/フォールアウト |
公開年 | 2018年 |
国 | アメリカ |
監 督 | クリストファー・マッカリー |
脚 本 | クリストファー・マッカリー |
出 演 | トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、レベッカ・ファーガソン、サイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス、ショーン・ハリス、アンジェラ・バセット、ミシェル・モナハン |
制作会社 | スカイダンス・メディア、バッド・ロボット・プロダクションズ、TCプロダクションズ、パラマウント・ピクチャーズ |
受賞歴 | 第45回サターン賞 アクション/アドベンチャー映画賞 受賞、ほか多数ノミネート(英国アカデミー賞、クリティクス・チョイス他) |
あらすじ(ネタバレなし)
元CIAの精鋭エージェント、イーサン・ハント率いるIMFチームは、世界を揺るがす核テロ計画を阻止すべく、危険な任務に挑むこととなる。標的は、かつて自らの手で捕えたはずのテロリスト「ソロモン・レーン」と、彼に呼応する謎の組織“アポストル”。 任務は次第に複雑化し、CIAから派遣された敏腕エージェント、ウォーカーとの共同作戦が始まるが、誰が味方で誰が裏切り者なのか──信頼すらも揺らぐ展開に。 爆発的なアクションと緻密な心理戦が交錯する中、イーサンは“人類の未来”をかけた選択を迫られる。 果たして彼は、仲間を守りながら世界を救えるのか? ──スリルと緊張感が連続する本作の冒頭から、目が離せない。予告編で感じる世界観
※以下はYouTubeによる予告編です。
独自評価・分析
ストーリー
(4.0点)
映像/音楽
(4.5点)
キャラクター/演技
(4.0点)
メッセージ性
(3.5点)
構成/テンポ
(4.5点)
総合評価
(4.1点)
シリーズ6作目となる本作は、前作との物語的なつながりを保ちつつも、初見でも理解しやすいプロット構成が評価されるポイントです。ストーリーは王道ながらも緻密に構成され、観客の緊張感を維持し続けます。
特筆すべきは、トム・クルーズ自らが挑む命懸けのスタントと、IMAXを活用した臨場感ある映像美。また、音楽面でもローン・バルフェによる重厚なスコアが物語に迫力を与えています。
演技に関しては、主演陣の安定感と新キャラの魅力がうまく融合しており、チーム感が際立つ構成です。一方、社会的メッセージは控えめで娯楽性に重きが置かれており、その分メッセージ性の評価はやや抑えています。
全体として、ハリウッドアクションの最高峰でありながらバランスの取れた作品といえるでしょう。
3つの魅力ポイント
- 1 – 息をのむリアルスタント
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主演のトム・クルーズが自ら挑むスタントの数々は、本作の最大の見どころのひとつ。ヘリコプターを自ら操縦しての空中チェイスや、高層ビルからの飛び降りアクションなど、CGに頼らないリアルな迫力が映像に圧倒的な臨場感を与えている。
- 2 – シリーズを貫く人間ドラマ
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単なるスパイアクションにとどまらず、イーサン・ハントというキャラクターが背負う葛藤や仲間との絆が、物語に深みを与えている。特に本作では、過去作からの登場人物との関係性が重要な軸となっており、シリーズファンにとっては感情的な見応えも大きい。
- 3 – スパイ映画の粋を極めた構成
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変装、情報戦、裏切り、爆破、追跡、近接戦──スパイ映画に求められる要素がすべて盛り込まれていながら、一本の作品として破綻なくまとめあげる構成力は圧巻。テンポの良さと緻密な伏線が、最後まで観客を飽きさせない。
主な登場人物と演者の魅力
- イーサン・ハント(トム・クルーズ)
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IMFの敏腕エージェントであり、本シリーズの主人公。トム・クルーズが体当たりで演じるイーサンは、冷静沈着な判断力と情熱的な正義感の両面を併せ持つキャラクター。本作では精神的な苦悩や過去のトラウマとも向き合いながら、任務と仲間の間で揺れる人間味のあるヒーロー像を体現している。
- オーガスト・ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)
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CIAから派遣されたエージェントで、イーサンと行動を共にすることになる人物。スーパーマン役でも知られるヘンリー・カヴィルが、無骨で謎めいた存在感と圧倒的なフィジカルで新たな魅力を放つ。シリーズに新風を吹き込むキャラクターとして強烈な印象を残す。
- イルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)
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元MI6のスパイで、複雑な立場にありながらもイーサンと深い信頼関係を築いている。レベッカ・ファーガソンは、強さと繊細さを絶妙に共存させた演技で、ただの“ヒロイン”に留まらない凛とした女性像を作り上げている。
- ベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)
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IMFの技術担当で、ハッキングや変装など多才なスキルを発揮するムードメーカー。サイモン・ペッグの演技は、ユーモアと緊迫感を両立させた絶妙なバランス感覚が光り、シリアスな展開の中でも観客に安堵を与えてくれる存在となっている。
視聴者の声・印象













こんな人におすすめ
逆に避けたほうがよい人の特徴
複雑な人間関係やスパイ映画の設定に慣れていない人
アクションよりも感動的なストーリーを重視する人
2時間を超える長編に集中力を維持しにくい人
シリーズ未視聴で背景がわからないと不安になる人
リアリティよりもフィクションらしい展開を好む人
社会的なテーマや背景との関係
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、単なるアクション映画ではなく、現代社会が抱える不安や倫理的ジレンマを内包した作品でもある。本作で中心的に描かれるのは、「国家による大量破壊兵器の管理」や「テクノロジーに依存した世界の脆弱性」といった、現実世界でも極めて重要な問題だ。
作中では、かつて逮捕されたテロリスト「ソロモン・レーン」が“アポストル”と呼ばれる組織を通じて、新たな脅威を世界にもたらそうとする。その計画の中心には、核兵器と宗教的カルト思想が融合したような危険な理想があり、それは「秩序のための破壊」「苦しみを経た再生」といった危険思想の象徴として機能している。
また、CIAとIMFの情報の不一致や、信頼できない同盟関係の描写も重要な要素であり、これはまさに今日の国際政治における諜報活動の複雑さや、国家間の信頼の崩壊を彷彿とさせる。
「正義とは誰が決めるのか?」「善意が裏目に出ることはないのか?」という問いかけも本作には組み込まれており、それは単なる娯楽を超えて、現代を生きる我々にとっての“選択”の重みを映し出している。
娯楽性が高い一方で、こうした社会的・倫理的問いかけを観客に自然と投げかけてくる点こそが、本作の奥深さであり、シリーズの中でも特に成熟した一本といえるだろう。
映像表現・刺激的なシーンの影響
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、その映像表現においてシリーズ中でも特にリアルで緊迫感のある演出が際立つ作品である。撮影にはIMAXカメラやスタビライザー技術が多用されており、息をのむような没入感とスピード感あふれる映像体験が実現されている。
なかでも注目すべきは、トム・クルーズ自身が実際に挑んだスタントの数々。パリ市街でのカーチェイス、ロンドンの屋根上を全力疾走するシーン、そしてヘリコプターによる空中戦など、現実離れした設定でありながら、その映像には驚くほどのリアリティがある。視覚的な迫力だけでなく、音響設計も優れており、爆発音や追跡音、緊迫した静寂などが観客の神経を刺激する。
一方で、刺激的な描写についても注意が必要だ。流血や銃撃戦の描写は比較的リアルかつ多く、アクション映画に不慣れな視聴者や小さなお子様にはやや過激に映る可能性がある。また、戦闘中の急な音や映像の切り替えも多いため、心臓に不安がある方や静かな作品を好む方には、あらかじめ心構えが必要だろう。
ただし性的描写やホラー的な恐怖演出は控えめであり、その点においては過度な不快感を与えることはない。むしろ本作の魅力は、「刺激的でありながらも品位を保った演出バランス」にある。
総じて、本作の映像演出は観る者の体感を大きく揺さぶるものであり、劇場で観るにふさわしい“映画体験”を味わえる一作といえるだろう。
関連作品(前作・原作・メディア展開など)
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、1996年から続く人気スパイアクションシリーズ「ミッション:インポッシブル」の第6作目にあたります。本作は前作『ローグ・ネイション』(2015年)の直接的な続編となっており、敵役ソロモン・レーンやエージェント・イルサ・ファウストといったキャラクターが再登場します。
本シリーズの特徴は、どの作品も一話完結型でありながら、各キャラクターの関係性や物語の伏線が回を追うごとに積み重なっていく点にあります。そのため、より深く理解し楽しみたい場合は、以下の順番での視聴が推奨されます:
- 1作目:『ミッション:インポッシブル』(1996)
- 2作目:『M:I-2』(2000)
- 3作目:『M:i:III』(2006)
- 4作目:『ゴースト・プロトコル』(2011)
- 5作目:『ローグ・ネイション』(2015)
- 6作目:『フォールアウト』(本作・2018)
シリーズを通して視聴することで、イーサン・ハントの過去や葛藤、IMFチームとの信頼関係、宿敵との因縁など、物語の奥行きがより感じられるはずです。
なお、本シリーズの原点は1966年に放送開始されたアメリカのテレビドラマ『スパイ大作戦(Mission: Impossible)』にあります。映画版はそのコンセプトを現代風にアップデートしたもので、当初からパラマウント・ピクチャーズが制作に関与しています。
メディア展開としては、劇場映画のほかにゲーム化やノベライズもされており、“スパイアクションの象徴”として映像文化に強い影響を与え続けているシリーズです。
類似作品やジャンルの比較
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』が属するスパイ・アクションのジャンルには、世界観や演出に共通点を持つ名作が数多く存在します。ここでは、ジャンル的に近いおすすめ作品と、それぞれの共通点・違いを紹介します。
- 『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)
同じく英国スパイの活躍を描く本作は、スタイリッシュなアクションと心理戦が特徴。MIシリーズよりもクールでダンディな演出が多く、より洗練された雰囲気を好む人に向いています。 - 『キングスマン』(2015)
スパイ組織の若き新人が活躍するという構造は共通しているが、こちらはユーモアやポップなバイオレンス描写が強め。シリアスなMIシリーズと比べて“遊び心のある”スパイ映画として対比できます。 - 『アトミック・ブロンド』(2017)
冷戦下のベルリンを舞台にした女性スパイ映画。MIシリーズ同様にリアルな肉弾戦と情報戦が描かれ、映像のスタイリッシュさとスパイの孤独さが際立つ作品です。 - 『ソルト』(2010)
二重スパイをテーマにしたサスペンス要素の強い作品。MIと同じく「誰が味方で誰が敵か分からない」構図が展開され、スリリングな追跡劇が楽しめます。 - 『ハート・オブ・ストーン』(2024)
テクノロジーと女性エージェントの活躍を描いた最新作。MIのガジェット好きやチームプレイにハマった人には、近未来風スパイアクションとしておすすめです。
いずれの作品も、スパイ映画ならではの「裏切り」「情報戦」「孤独な戦い」といった共通のテーマを持ちつつ、それぞれ異なるアプローチで描いている点が魅力です。「ミッション:インポッシブル」が好きな方なら、きっと他の作品でもスリルと興奮を味わえるはずです。
続編情報
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)の続編は、すでに複数制作・公開されており、シリーズ第7作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』が2023年に劇場公開されました。
さらに、その続編にあたる第8作目『Mission: Impossible – The Final Reckoning』(ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング)が、2025年5月23日に世界公開される予定です(インドでは2025年5月17日先行)。
この最新作の監督は引き続きクリストファー・マッカリーが務め、主演のトム・クルーズを中心に、サイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス、ヘイリー・アトウェル、レベッカ・ファーガソンらが再登場予定。シリーズの集大成となる可能性がある一方で、トム・クルーズ本人は「これが最後」とは明言しておらず、続編やスピンオフの余地も残されています。
物語としては『デッドレコニング PART ONE』から直接繋がる構成であり、AI兵器“Entity”との対決を軸に、IMFチームの信念と未来が問われる展開が描かれる予定です。かつてシリーズに登場した「ラビットズ・フット」などの要素も再び登場することが示唆されており、ファンにとっては多くの伏線回収が期待されます。
なお、現時点ではプリクエル(前日譚)やスピンオフに関する公式発表はないものの、制作陣からは「シリーズ世界を広げたい」というコメントもあり、今後の展開にも注目が集まっています。
まとめ|本作が投げかける問いと余韻
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、シリーズ第6作目にして、過去作の集大成ともいえる完成度を誇る一作です。息もつかせぬアクション、複雑に絡み合う人間関係、そして世界の均衡を揺るがす危機──まさに“インポッシブル”な状況に立ち向かう者たちの姿が、観る者に強烈なインパクトを残します。
本作が単なるアクション映画にとどまらず、観客の心に響く理由は、その根底に「正義とはなにか?」「信じるに値するものとは?」という根源的な問いがあるからです。敵と味方の境界が揺らぐ状況の中で、イーサン・ハントが下す選択は、私たち自身が現実で直面する決断とどこか重なります。
また、物理的な派手さだけでなく、人間としての葛藤や弱さ、そしてそれを乗り越える強さを描いている点も印象的です。トム・クルーズの全力投球の演技とともに、仲間たちとの信頼関係や過去との向き合い方が繊細に描かれており、「派手なだけの映画」とは一線を画します。
観終えたあとに残るのは、爽快感と共に、「もし自分だったらどうするか?」という問い。世界を救う任務ではないにしても、日々の中で私たちが選択する小さな正義や信念──それがどれほど重いものかを考えさせられます。
『フォールアウト』というタイトルが意味するのは、「落下」や「余波」だけではなく、選択と行動の“結果”をどう受け止めるかという深いテーマなのかもしれません。
観終わったあとも心に残り続ける余韻。それこそが、本作がスパイアクションの枠を超えて、“傑作”と呼ばれる所以なのでしょう。
ネタバレ注意!本作の考察(開くと見れます)
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『フォールアウト』は、物語の緊張感やアクションの見応えもさることながら、“信頼”と“選択”をめぐる裏テーマが巧みに描かれた作品でもあります。
特に重要なのは、CIAから派遣されたオーガスト・ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)の存在。彼の登場により、イーサン・ハントとIMFという組織が、国家の中でどれほど“信用されていない”かが浮き彫りになります。「誰を信じるべきか?」という問いは、全編にわたって登場人物たちに突きつけられ続けます。
また、イーサンが選ぶのは常に“命を救う選択”。核爆弾を止めるためにはユリアの命を犠牲にすべきだという現実的な提案に対しても、彼は仲間も人類も両方救う道を選ぶ。この姿勢は、功利主義的な合理性へのアンチテーゼとも読めます。
さらに考察を深めるなら、ソロモン・レーンの思想と組織“アポストル”の行動原理は、現代社会における過激主義やテクノロジー依存社会への警鐘とも取れます。「苦しみから新しい秩序が生まれる」という破壊的思想は、現実世界にも類似する構造が見られるのではないでしょうか。
イルサ・ファウストの選択もまた注目に値します。彼女はMI6の命令と、イーサンとの信頼関係の間で揺れながらも、最終的には自らの正義を信じて行動します。この点は、「個人の良心 vs 組織の命令」というジレンマを象徴的に表しているように感じられます。
最後に、タイトルである“フォールアウト(fallout)”という言葉は、核の“残留放射能”を意味すると同時に、“出来事の余波”という含みもあります。本作ではまさに、過去の選択が現在にどんな影響を及ぼすのか、その“余波”と向き合う物語が描かれているのです。
本作は、観る人によって異なる読み解きが可能な“重層的なスパイ映画”です。派手な爆発の裏にある静かな問いかけに、ぜひ耳を澄ませてみてください。
ネタバレ注意!猫たちの会話(開くと見れます)
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