『search/#サーチ2』とは?|どんな映画?
『search/#サーチ2』は、全編をパソコンやスマートフォンの画面上で描く“スクリーンライフ”形式で展開される、臨場感と緊張感に満ちたサスペンス映画です。
母親が突然失踪したことをきっかけに、娘がオンライン上の手がかりを頼りに事件の真相を探る姿を描いており、デジタル時代特有の情報網と個人のプライバシーを巡る緻密な物語構成が見どころです。
ジャンルとしては「サスペンス」「スリラー」に分類され、巧妙な伏線と予測不能な展開が観る者を翻弄します。
一言で表現するなら、「スマホとSNSだけで、ここまで物語を動かせるのか!?」という驚きと没入感を体験できる、次世代型のミステリースリラーです。
基本情報|制作・キャスト/受賞歴・公開情報
タイトル(原題) | Missing |
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タイトル(邦題) | search/#サーチ2 |
公開年 | 2023年 |
国 | アメリカ |
監 督 | ウィル・メリック、ニック・ジョンソン |
脚 本 | ウィル・メリック、ニック・ジョンソン |
出 演 | ストーム・リード、ニア・ロング、ホアキム・デ・アルメイダ、ケン・レオン |
制作会社 | Screen Gems、Stage 6 Films、Bazelevs Company |
受賞歴 | 2023年サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)上映作品。その他主要な映画賞での受賞歴は確認されていません。 |
あらすじ(ネタバレなし)
高校生のジューンは、母グレイスと二人で暮らすロサンゼルスの自宅で、夏休みを満喫していた。
そんなある日、グレイスが新しい恋人と一緒にコロンビア旅行へ出かけたまま、帰国予定日を過ぎても一切連絡が取れなくなる。
渡航先の警察も頼りにならず、アメリカ国内にいるジューンができる手段は限られている。だが、彼女はSNS、GPS、クラウドサービスなど、あらゆるオンラインツールを駆使して母の行方を追い始める。
スマホやPCの画面を通して進行する“スクリーンライフ”の世界で、ジューンが目にするのは、母の知られざる一面と次々と浮かび上がる違和感――。
果たして、彼女は真実にたどり着けるのか? そして、母はどこへ消えたのか?
予告編で感じる世界観
※以下はYouTubeによる予告編です。
独自評価・分析
ストーリー
(4.0点)
映像/音楽
(3.5点)
キャラクター/演技
(3.5点)
メッセージ性
(3.5点)
構成/テンポ
(4.0点)
総合評価
(3.7点)
物語はテンポよく進み、ジューンが限られた手段で母の行方を追う展開は非常に引き込まれる内容です。ストーリーにはサプライズや伏線も多く、最後まで飽きさせません。
映像面では“スクリーンライフ”特有の視点がうまく活かされており、スマホやPCの画面越しでしか描かれない世界観を成立させていますが、演出には多少マンネリ感も否めません。
キャストは若手中心ながら、リアルな感情表現で物語を支えており、特にストーム・リードの演技は評価に値します。
メッセージ性としては、デジタル依存や監視社会、個人情報の危うさといった現代的なテーマを含みつつ、エンタメ要素が強く主張はやや控えめです。
総じて、シリーズ作品としても単独作品としても高い完成度を持ち、デジタル社会のスリラーとして一見の価値がある一作といえます。
3つの魅力ポイント
- 1 – スクリーンライフの限界突破
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全編がスマホやPCの画面上で展開される“スクリーンライフ”形式ながら、編集や演出の工夫によって視覚的な単調さを感じさせない。複数のアプリや映像通話、監視カメラなどを効果的に使い、物語をダイナミックに動かしている点が特筆すべき魅力。
- 2 – 主人公ジューンの成長ドラマ
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ティーンエイジャーのジューンが、母の失踪という危機的状況に直面し、自ら行動を起こしていく過程は、成長ドラマとしても見応えがある。オンラインに精通した世代ならではの発想と行動力が、物語にリアリティと共感をもたらしている。
- 3 – 予想を裏切るミステリー展開
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序盤から伏線が丁寧に張られており、物語が進むごとに視聴者の予想を裏切る展開が次々に待ち受ける。情報の断片から真実を探るプロセスにおいて、観る者自身が“謎解き”に参加しているような感覚を味わえる点が秀逸。
主な登場人物と演者の魅力
- ジューン・アレン(ストーム・リード)
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物語の主人公で、突然失踪した母を追って独自に調査を始める女子高生。ストーム・リードは、思春期の揺れる感情や不安、そして決意に満ちた表情を見事に演じ切り、観客を強く引き込む存在感を放っている。彼女のリアクションや表情の変化が、全編“画面越し”である本作において特に重要な感情の導線となっている。
- グレイス・アレン(ニア・ロング)
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ジューンの母親で、恋人とコロンビアへ旅行に出かけた後、消息を絶つ。物語のキーパーソンでありながら、その存在は謎に包まれており、後半にかけて真実が徐々に明かされていく。ニア・ロングの落ち着いた演技が、母親像にリアリティと深みを与えている。
- ハビエル(ホアキム・デ・アルメイダ)
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コロンビアでジューンの依頼に協力することになる地元の男性。デジタルに不慣れな一方で人間味にあふれるキャラクターであり、ジューンと好対照な存在。ホアキム・デ・アルメイダの温かみのある演技が、作品に安心感と人間的なぬくもりを与えている。
視聴者の声・印象













こんな人におすすめ
逆に避けたほうがよい人の特徴
全編がスマホやPCの画面越しで進行する演出に違和感を覚える人
派手なアクションや大規模なスケールを期待している人
伏線や謎解き要素にあまり興味がなく、感覚的に楽しみたい人
人間関係や感情の深掘りを重視する人
目まぐるしい情報展開に疲れやすい人
社会的なテーマや背景との関係
『search/#サーチ2』は、単なるサスペンススリラーにとどまらず、現代社会におけるテクノロジー依存と個人情報のリスクを強く映し出した作品でもあります。SNS、メール、クラウド、位置情報アプリなど、現代人が日常的に使っているツールが劇中で重要な役割を果たしており、「情報が可視化されすぎた世界の危うさ」がリアルに描かれます。
特に印象的なのは、ジューンが母の行方を追う過程で次々とアカウントや通信履歴を追跡し、“画面上の情報”だけで人物像や行動を構築していく点です。これは監視社会化するインターネットと、その裏にある「人間の見たい情報しか見えなくなる」フィルターバブルの問題を象徴しているとも解釈できます。
また、本作では一見便利なデジタル技術が、時として誤解を生み、人間関係に深刻な溝をつくる可能性があることも描かれており、「テクノロジーと信頼」のテーマが根底に流れています。ジューンは、画面越しで真実を探る一方で、母との過去や記憶、自分自身の感情とも向き合っていくことになります。
さらに、「子どもが大人の代わりに問題を解決せざるを得ない現代」という構図も、本作の背景として注目すべき点です。社会や制度に頼れないとき、個人がテクノロジーを武器に立ち上がる構図は、現代のデジタル・ネイティブ世代が直面する現実の一面を浮かび上がらせています。
結果として本作は、エンタメ作品でありながらも、「私たちはテクノロジーとどう共存するのか?」という問いを観客に突きつける社会派スリラーとしても成立しており、視聴後に深い余韻と考察の余地を残します。
映像表現・刺激的なシーンの影響
『search/#サーチ2』は、全編をスマートフォンやPCなどの画面越しで構成する「スクリーンライフ」形式が最大の特徴であり、日常に近い視点から生まれる没入感が映像的な魅力を生んでいます。
複数のウィンドウが同時に展開されるレイアウトや、SNS、ビデオ通話、ブラウザ操作といった馴染みあるUIの再現によって、視聴者自身がジューンの視点で“調査に加わっている”ような体験ができます。この構成が、派手なカメラワークや映画的な演出とは異なる、リアリズムに根ざした緊張感を生み出しています。
音響面では、BGMは控えめに抑えられており、キーボードの打鍵音、通知音、接続音など現実的なサウンドが臨場感を支えている点が印象的です。ときおり挿入されるSE(効果音)が、サスペンスを高めるために緻密に設計されているのがわかります。
一方で、映像的な“刺激”という観点では、残酷描写や暴力シーンは最小限にとどまっており、直接的な流血や暴力の連続的描写はほとんどありません。あくまで精神的な緊張や謎解きのスリルが中心となっており、ホラー映画のような恐怖演出は控えめです。
ただし、ある種の“予期せぬ展開”が突然挿入されることで驚きやショックを誘う場面がいくつかあり、サスペンスとしての緊迫感は十分に維持されています。画面上の些細な変化が伏線であったり、観察力が問われるシーンも多いため、集中して視聴することが推奨されます。
全体として、映像や音の派手さで押す作品ではなく、「日常のツールがサスペンスの舞台になる」ことの異質さとリアルさを武器にした演出スタイルが特徴であり、その点がむしろ新鮮な驚きを生んでいる作品です。
関連作品(前作・原作・メディア展開など)
『search/#サーチ2』(原題:Missing)は、2018年に公開された映画『search/サーチ』と世界観を共有する“スピリチュアル・シリーズ”的な位置づけにある作品です。
ただし、両作品に直接的なストーリーのつながりはなく、登場人物や事件は完全に独立しているため、どちらから観ても問題ありません。時系列的にも続編という扱いではなく、”スクリーンライフ”というスタイルを共有したアンソロジー的展開のひとつです。
『search/サーチ』は行方不明になった娘を父がPC画面を通じて捜索する構成で、本作はその視点を反転させ、「娘が母を探す」というアプローチを取っています。この“立場と視点の逆転”が両作の対比として興味深いポイントになっています。
また、前作の制作陣であったアニーシュ・チャガンティが本作では製作にまわり、編集を担当していたスタッフ2名(ウィル・メリックとニック・ジョンソン)が本作の監督を務めている点も注目です。これは「作り手としての視点継承」という点で、シリーズとしての一貫性を感じさせます。
本作には小説やコミックなどの原作はなく、完全オリジナルの脚本によって制作されています。また、メディア展開としてのドラマ化やアニメ化なども現時点では発表されていません。
類似作品やジャンルの比較
『search/#サーチ2』は、“スクリーンライフ”という斬新な演出形式と、現代的なサスペンス要素を融合させた作品です。こうしたジャンルに関心がある方には、以下のような類似作品もおすすめです。
『search/サーチ』(2018年) “スクリーンライフ”映画の金字塔とも言える作品で、父親が失踪した娘を追跡する物語。本作とは親子関係や視点の構造が対照的で、シリーズ的なつながりを感じながらも独立して楽しめる点が共通しています。
『Unlocked/アンロックド』(2023年・韓国) スマートフォンを紛失したことをきっかけに、プライバシーが侵害されていく恐怖を描いたサイコスリラー。デジタル社会への警鐘という点で共通しており、よりダークで心理的な描写が強いのが特徴です。
『Unseen』(2023年・アメリカ) ほぼ盲目の女性が、見知らぬ女性のビデオ通話越しの助けによってサバイバルを試みるスリラー。画面越しのやりとりによる臨場感と、人と人のつながりの描き方が本作に通じるものがあります。
『バッド・ランズ』(2023年・日本) 直接の関連性はないものの、現代犯罪社会の中で個人がどう生きるかという構図は共通しており、緊張感ある展開を好む人には近い魅力を持つ作品です。
いずれの作品も、デジタル社会に潜む危うさや、予測不能な展開を楽しめるスリラーという点で共通点があります。本作が気に入った方には、こうした作品も「次の一本」としておすすめです。
続編情報
『search/#サーチ2』(原題:Missing)は、2018年公開の『search/サーチ』(Searching)に続く“スクリーンライフ・スリラー”の流れを汲んだ作品ですが、現時点(2025年7月時点)では正式な続編の制作・公開は発表されていません。
ただし、監督のウィル・メリックとニック・ジョンソンは、インタビューの中で「スクリーンライフ形式の作品を今後も検討している」と発言しており、続編やシリーズ化の可能性はスタジオ内で議論されている段階にあることが明かされています。
具体的なタイトルや公開時期、キャストの続投についても、現時点では一切情報は出ておらず、構想・制作段階には至っていない模様です。
また、前作『search/サーチ』とのストーリー上の直接的なつながりがなかったことから、仮に続編が制作されるとしても、アンソロジー形式での“別人物・別事件”による新作となる可能性が高いと考えられます。
したがって、続編に関しては引き続き公式情報の発表を待つ必要がありますが、本作の評価と興行成績次第では新展開が期待できるジャンルであることは間違いありません。
まとめ|本作が投げかける問いと余韻
『search/#サーチ2』は、単なるサスペンススリラーではなく、現代のテクノロジー社会に生きる私たちが直面するリアルな問いを投げかける作品です。物語のテンポや謎解きの巧妙さに加えて、家族の絆、情報社会の危うさ、そして信頼とは何かというテーマが、観る者の心にじわじわと残ります。
全編を通して“画面越し”に描かれる世界は、従来の映画とはまったく異なるスタイルでありながら、人間の感情や葛藤をこれほどまでに鮮明に浮き彫りにすることができるという可能性を証明しています。スマホの通知音ひとつ、カーソルの動きひとつにすら意味が込められ、観客自身もまた画面の“向こう側”に入り込んだような錯覚に陥ることでしょう。
また、主人公ジューンの視点を通じて描かれる“情報の海に溺れず、自ら真実を掴みにいく姿”は、受動的に与えられる情報ではなく、自ら能動的に読み解く力の重要性を象徴しています。これはまさに、今のネット社会に生きる私たち一人ひとりに向けたメッセージともいえるでしょう。
「誰かの“オフライン”は、果たして本当に本人の意志なのか?」、「画面に映らないものこそ、真実ではないのか?」――本作が終わった後、こうした問いが静かに心の中で反響し続ける感覚こそが、何よりも深い余韻として残ります。
最後まで一貫して緊張感を保ちつつ、情報社会の落とし穴と希望を描いた『search/#サーチ2』は、“今この時代にこそ観るべき一本”として強く推せる作品です。
ネタバレ注意!本作の考察(開くと見れます)
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本作の最大のトリックは、「母親の失踪」という一見シンプルな出来事が、実はジューン自身の過去と深くつながっていたという点にあります。序盤で提示されるいくつかの違和感(メールの文体や位置情報の矛盾)は、後半になってから一気に伏線回収され、物語構造そのものが二重三重のレイヤーで設計されていることに気づかされます。
特に、ジューンが発見する“偽のアイデンティティ”の設定や、動画通話中に映る一瞬の映像などは、注意深く観ていないと見逃してしまうミスリードとして巧妙に仕込まれており、「視聴者自身もまた操作されているのでは?」という疑念を抱かせます。
また、本作は“母と娘の関係性”という普遍的なテーマを下敷きにしつつ、「本当の家族とは何か?」という問いを投げかけています。実母とされる人物の正体や、ジューンの出生にまつわる真相は、単なるどんでん返し以上に、人間関係の信頼や再構築を考えさせる要素となっています。
さらに、“監視社会”や“情報操作”といった背景に加え、ジューン自身が「見たいものだけを見ていた」ことへの気づきも重要なテーマです。観客もまた、彼女と一緒に「偏った視点」からの脱却を体験する構造になっており、これは情報社会を生きる現代人へのメタ的な警鐘として機能しています。
最後の展開では、事件の解決だけでなく、“新たなつながり”や“選択”が提示されることで、恐怖と安心、真実と虚構の境界線が揺さぶられるような余韻を残します。何を信じ、どの情報を頼りにするのか——その選択は、私たち自身にも委ねられているのかもしれません。
ネタバレ注意!猫たちの会話(開くと見れます)
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