『モンスター上司2』とは?|どんな映画?
『モンスター上司2』は、2011年に公開された大ヒットコメディ『モンスター上司』の続編として制作されたブラックコメディ映画です。会社でのストレスや理不尽な上司に振り回されるサラリーマンたちが、さらにドタバタとした事件に巻き込まれていく姿を描いています。
本作は、前作以上にテンポの良い会話劇と、予測不能なハプニングの連続が魅力です。豪華キャストによる掛け合いが痛快で、日常の不満を笑い飛ばせるようなカタルシスを与えてくれます。
一言で表すなら「不条理な社会を笑いで吹き飛ばす、痛快ドタバタコメディ」です。シニカルさと軽快さが絶妙に混ざり合い、肩の力を抜いて楽しめるエンタメ作品となっています。
基本情報|制作・キャスト/受賞歴・公開情報
タイトル(原題) | Horrible Bosses 2 |
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タイトル(邦題) | モンスター上司2 |
公開年 | 2014年 |
国 | アメリカ |
監 督 | ショーン・アンダース |
脚 本 | ショーン・アンダース、ジョン・モリス |
出 演 | ジェイソン・ベイトマン、チャーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス、ジェニファー・アニストン、ケヴィン・スペイシー、クリストフ・ヴァルツ、クリス・パイン |
制作会社 | ニュー・ライン・シネマ、ラットパック=デューン・エンターテインメント |
受賞歴 | 特筆すべき主要映画賞の受賞はなし |
あらすじ(ネタバレなし)
自分たちの人生を変えるため、一念発起して「夢のビジネス」を立ち上げたニック、デール、カート。もう二度と理不尽な上司に振り回されることなく、自分たちの力で成功を掴もうと意気込んでいました。
しかし、思い通りにいかないのが世の常。彼らの前に立ちはだかったのは、一筋縄ではいかない大企業の経営者たち。ビジネスの世界は甘くなく、予想外の事態に次々と巻き込まれてしまいます。
果たして3人は、自分たちの夢を守り抜くことができるのでしょうか? そして、彼らの計画は成功への第一歩となるのか、それともさらなるトラブルの幕開けとなるのか…。軽快なやり取りとドタバタ劇が繰り広げられる本作は、観客を笑いとハラハラで引き込みます。
予告編で感じる世界観
※以下はYouTubeによる予告編です。
独自評価・分析
ストーリー
(2.5点)
映像/音楽
(3.0点)
キャラクター/演技
(3.5点)
メッセージ性
(2.0点)
構成/テンポ
(3.0点)
総合評価
(2.8点)
ストーリーは前作の成功をなぞる要素が強く、新鮮味に欠ける部分が目立つため厳しめの評価としました。
映像や音楽は平均的で大きな欠点はなく、テンポも一定のリズムを保っていますが、突出した演出は少なめです。
キャラクター/演技に関しては、主演3人組の掛け合いが安定感を見せ、さらにジェニファー・アニストンやクリストフ・ヴァルツといった豪華キャストの存在が全体を引き上げています。
一方で作品全体としてのメッセージ性は薄く、社会的テーマよりもドタバタコメディに振り切っている印象です。
総合的には「笑えるコメディ」としての役割は果たしているものの、映画としての深みや新規性はやや弱いため、総合評価は2.8点に落ち着きました。
3つの魅力ポイント
- 1 – 3人の掛け合いが生む“瞬発力の笑い”
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ニック、デール、カートのトリオが早口のツッコミや勘違いを重ねていく会話劇は、本作の心臓部。セーフ/アウトの境目を攻めるボケと、瞬時に返すツッコミの連鎖がテンポ良く畳みかけ、退屈する暇がありません。前作で確立したコンビネーションが、よりこなれて機能しています。
- 2 – クセ強めの“敵役”が物語を転がす
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強欲な親子のビジネス相手など、主人公たちを翻弄する“敵”が強烈で、彼らの横暴さがドタバタの引き金に。相手の嘘と策略に三人が振り回される構図が、計画→失敗→更なる悪あがきという喜劇の基本サイクルを強化し、予測不能な展開を加速させます。
- 3 – “職場の理不尽”を笑いに変えるカタルシス
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雇われる側の弱さやビジネスの理不尽さといった日常的ストレスを、悪ノリと失敗の連続で安全にガス抜き。現実なら絶対やらない選択をあえて踏み外していく三人に観客が感情移入しやすく、「言ってやりたい・やってみたい」を代行してくれる痛快さが後味の良さにつながっています。
主な登場人物と演者の魅力
- ニック・ヘンドリックス(ジェイソン・ベイトマン)
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冷静で常識人ながら、仲間に振り回されてトラブルに巻き込まれる役どころ。ジェイソン・ベイトマンの落ち着いた演技が、物語の中で観客の共感をつなぎ止める軸となっています。
- デール・アーバス(チャーリー・デイ)
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お調子者で声が高く、常に空回りするキャラクター。チャーリー・デイのコミカルな表情と独特の声質が活きており、笑いのエネルギーを一気に加速させます。
- カート・バックマン(ジェイソン・サダイキス)
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楽観的で行き当たりばったりな性格。ジェイソン・サダイキスの軽妙な演技が、3人組の中で自由奔放なバランスを担い、場を引っかき回す存在感を放っています。
- ジュリア・ハリス(ジェニファー・アニストン)
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破天荒な歯科医として再登場し、主人公たちを翻弄する存在。ジェニファー・アニストンが大胆に演じる姿は、前作から続く鮮烈なキャラクター性をさらに強めています。
- バート・ハンソン(クリストフ・ヴァルツ)
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狡猾なビジネスマンで、主人公たちの計画を出し抜こうとするキーパーソン。クリストフ・ヴァルツが持つ知的で冷徹な雰囲気が、物語を引き締めています。
視聴者の声・印象













こんな人におすすめ
逆に避けたほうがよい人の特徴
シリアスで深い社会的テーマを求めている人
緻密なストーリー構成や伏線回収を重視する人
ブラックユーモアや下品なジョークに抵抗がある人
前作以上の新鮮な驚きを期待している人
ドタバタ感よりも静かな人間ドラマを好む人
社会的なテーマや背景との関係
『モンスター上司2』は一見するとドタバタコメディですが、その背景には現代社会における労働環境やビジネスの理不尽さが映し出されています。前作が「嫌な上司との対立」をテーマにしていたのに対し、本作では起業に挑戦する主人公たちが「大企業との力の格差」に直面します。この構図は、個人や中小企業が資本力を持つ巨大企業に飲み込まれてしまう現代のビジネス環境を風刺的に描いたものといえます。
また、主人公たちが選ぶ手段は常に正攻法ではなく、裏をかこうとする計画や勘違いに満ちています。これは一見バカバカしい展開でありながらも、理不尽な社会に対して弱者がどのように抵抗するかという普遍的なテーマを抱えています。現実では実現不可能な行動を「笑い」として描くことで、観客にカタルシスを与えつつ、社会に潜むストレスの代弁者として機能しているのです。
さらに、バート・ハンソンのような強欲な経営者像は、グローバル化と資本主義が加速する現代で繰り返し目にする「権力を持つ者」の象徴とも言えます。その一方で、主人公たちの愚かさや失敗が強調されることで、社会的な格差問題を過度に重苦しくせず、娯楽として消化できるバランスが取られています。
つまり本作は、ただのコメディとして笑うだけでなく、「仕事とは?」「成功とは?」という問いを軽やかに突きつける作品です。観客は笑いながらも、社会の矛盾や人間の欲望について考えるきっかけを得ることができます。
映像表現・刺激的なシーンの影響
『モンスター上司2』は、映像的には派手なアクションや映像美を前面に押し出すタイプではなく、むしろ会話劇を中心としたコメディ演出が軸になっています。画面構成は比較的シンプルですが、カメラワークやテンポの良い編集によって軽快な雰囲気が維持され、観客を飽きさせない工夫が施されています。
一方で、刺激的なシーンについても言及が必要です。物語の中では下ネタやセクシャルなジョークが繰り返し登場し、特にジェニファー・アニストン演じるキャラクターが繰り広げる奔放な言動は印象的です。これらは作品の笑いの一部として描かれていますが、苦手と感じる人にとっては不快に感じられる可能性があります。
暴力描写については過激なものではなく、ドタバタコメディ特有の「殴る・逃げる・失敗する」といった軽度のアクション表現が中心です。血や恐怖を煽る表現はほとんどなく、あくまで笑いに転化される演出として扱われています。そのため、ホラー的なショック描写やグロテスクなシーンを心配する必要はありません。
音響面ではセリフのテンポや掛け合いが重要視されており、BGMはシーンの勢いを支える程度の役割を果たしています。派手な効果音よりも、キャラクターのやり取りを際立たせる編集や間の取り方が効果的に使われています。
総じて本作の映像表現は「刺激的すぎないコメディ」でありつつ、時に過激なジョークが飛び出すため、視聴する際は気軽に笑える一方で、下品なユーモアに抵抗がある人は注意が必要です。軽快なテンポと会話劇を楽しめる人には安心して鑑賞できる内容となっています。
関連作品(前作・原作・メディア展開など)
本作は『モンスター上司』の正式な続編(シリーズ第2作)です。物語上は前作の出来事と人物関係を引き継いでいますが、主要キャラクターの関係性や目的は冒頭で改めて描かれるため、前作未視聴でも単独で理解可能です。
観る順番のおすすめ:シリーズのギャグや掛け合い、人物の因縁をより深く楽しむなら、まず『モンスター上司』を鑑賞し、その後に本作を観る順番が推奨です。三人組の性格や関係がどう形成されたかが分かり、ネタの厚みが増します。
原作について:本シリーズは既存の小説やコミック原作があるタイプではなく、映画オリジナルの企画・脚本によるコメディです。そのため「原作との差異」よりも、前作との作風の違いがポイントになります。
- 前作との違い:『モンスター上司』が“嫌な上司への反撃”という閉じた職場コメディだったのに対し、本作は起業・取引・詐欺まがいの顛末などビジネス外部へとスケールを広げ、計画の迷走劇に比重が置かれます。
- キャラクターの継続性:主要三人の性格(常識人・暴走気味・楽観派)のトライアングルは維持され、掛け合いの化学反応がシリーズの核として踏襲されています。
メディア展開:劇場公開(海外)後はパッケージ・配信で広く展開され、ホームエンタメでの視聴機会が確立しています。日本では劇場未公開(ビデオスルー扱い)となった経緯があり、視聴は主に配信/パッケージが中心です。
スピンオフやテレビシリーズなどの派生展開は特に確認されていませんが、シリーズとしては『モンスター上司』→『モンスター上司2』の二作構成でまとまっています。
類似作品やジャンルの比較
『モンスター上司2』と同様に、ブラックユーモアやドタバタの勢いで走る作品を中心にピックアップ。共通点と相違点を手早く整理します。
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『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』
共通点:男友だちトリオの暴走/下ネタ&勘違いが雪だるま式に拡大。
相違点:『ハングオーバー!』は謎解き(記憶喪失)の縦糸が強め。『モンスター上司2』は職場・ビジネス風刺と計画破綻のコメディに寄る。 -
『なんちゃって家族』
共通点:寄せ集めが“チーム(擬似家族)”を組んで犯罪まがいの企み→トラブル続出。
相違点:偽装家族×ロードムービー色が濃い一方で、『モンスター上司2』は起業×取引の失敗劇が中心。 -
『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』
共通点:理不尽な出来事に巻き込まれるバディの珍道中/言い合いのテンポが命。
相違点:二人の関係性の変化に重心があるのに対し、『モンスター上司2』は三人の掛け合いと悪あがきの連鎖が主役。 -
『21ジャンプストリート』
共通点:R寄りジョークと勢いで押すバディコメディ。
相違点:潜入×アクションの比率が高め。『モンスター上司2』は会話劇主導で、職場風刺のニュアンスが強い。 -
『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』
共通点:人間関係のこじれを笑いに転化する群像コメディ。
相違点:女性友人同士×結婚イベントの混乱が主題。『モンスター上司2』はビジネスの理不尽さをネタにする。 -
『セブン・サイコパス』
共通点:皮肉の効いたブラックユーモア。
相違点:メタ構造とバイオレンス色が強めでよりダーク。軽快なドタバタ重視の『モンスター上司2』より刺激が強い。
「これが好きならこれも」:三人の掛け合いが刺さったなら『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』、職場の理不尽を笑い飛ばしたいなら『なんちゃって家族』、テンポ命のバディノリなら『21ジャンプストリート』が近道です。
続編情報
続編情報はありません。
補足:公式な制作発表は確認できていませんが、キャストからはシリーズ継続に前向きな発言が散見されます。たとえば、主要キャストが『モンスター上司』シリーズの再訪に興味を示したり、機会があれば前向きに参加したい旨を語ったインタビューが報じられています。ただし現時点でタイトル・公開時期・制作体制はいずれも未定で、企画段階にあることを示す確定情報は出ていません。
まとめ|本作が投げかける問いと余韻
『モンスター上司2』は、前作に引き続きドタバタな騒動を描きながらも、「職場での人間関係」や「理不尽な権力構造」といった普遍的なテーマを笑いに包んで提示しています。単なるコメディとして消費されるのではなく、観客に「働くとは何か」「理不尽に立ち向かう術はあるのか」といった問いを残す点が印象的です。
物語のテンポは軽快ですが、そこに描かれる不条理さは現実社会に通じており、笑いながらも心のどこかで共感や苦笑いを誘います。特に、仲間との協力や友情を強調する描写は、単なる娯楽以上の温かみを与え、視聴後に「人とのつながりの大切さ」を改めて考えさせられるでしょう。
全体を通して、コメディ映画としての楽しさと風刺的なメッセージが同居しており、軽妙さの中に現実を映す鏡のような存在感を放っています。そのため本作は「笑いの余韻」と「社会への問いかけ」を同時に観客に残す、意外に奥行きのある作品といえます。
ネタバレ注意!本作の考察(開くと見れます)
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『モンスター上司2』の物語を深掘りすると、表面的なドタバタコメディの裏に「復讐と正義の境界」というテーマが浮かび上がります。主人公たちの行動は笑いを誘う一方で、犯罪すれすれの計画を進める姿は「理不尽な権力にどう立ち向かうか」という寓話的な問いを投げかけています。
また、登場人物の失敗や誤算は単なるギャグではなく、「計画が思うようにいかないのは現実と同じ」というリアルさを強調しています。この点において、本作は前作の延長線でありながらも「仲間との絆」をより前面に押し出し、友情や連帯が持つ力を再確認させる構成になっています。
一方で、悪役側の描写にも注目すると、単純な「悪」ではなく資本主義社会の歪みを象徴する存在として描かれています。そのため観客は単に笑うだけでなく、現代社会の構造を皮肉った視点を読み取ることもできるでしょう。
全体を通して本作は、「笑いの中に隠された風刺」と「仲間の大切さ」を強調する二重構造を持ち、視聴者に「正義とは何か」を問い直す余韻を残す考察的な作品となっています。
ネタバレ注意!猫たちの会話(開くと見れます)
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