『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』とは?|どんな映画?
『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』は、2010年公開のアメリカ製コメディ映画で、ロードムービーとバディムービーの要素を融合させた作品です。監督は『ハングオーバー!』シリーズで知られるトッド・フィリップス。主演はロバート・ダウニー・Jr.とザック・ガリフィアナキスの二人が務め、性格も境遇も正反対の男たちがアメリカ横断の旅を通じて騒動を巻き起こします。
一言で表すなら、「出産を目前に控えた父親と奇妙な相棒による、トラブル満載のアメリカ横断コメディ」です。シニカルな笑いとドタバタ劇、そして旅の中で少しずつ芽生える奇妙な友情が物語の魅力となっています。
基本情報|制作・キャスト/受賞歴・公開情報
タイトル(原題) | Due Date |
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タイトル(邦題) | デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜 |
公開年 | 2010年 |
国 | アメリカ |
監 督 | トッド・フィリップス |
脚 本 | アラン・R・コーエン、アラン・フリードランド、アダム・スティキエル、トッド・フィリップス |
出 演 | ロバート・ダウニー・Jr.、ザック・ガリフィアナキス、ミシェル・モナハン、ジュリエット・ルイス、ジェイミー・フォックス |
制作会社 | レジェンダリー・ピクチャーズ、グリーン・ハット・フィルムズ |
受賞歴 | 特筆すべき主要映画賞での受賞はなし |
あらすじ(ネタバレなし)
建築家のピーターは、妻の出産に立ち会うためにロサンゼルスからアトランタへ急いで帰ろうとしていました。しかし、空港で出会った風変わりな役者志望のイーサンと最悪のトラブルに巻き込まれてしまいます。飛行機に乗れなくなった二人は、やむを得ず一緒に車で大陸横断の旅に出発することに。
気難しく几帳面なピーターと、マイペースで予測不能なイーサン。性格も価値観も正反対の二人の旅路は、次から次へとトラブルが発生し、まさに
予告編で感じる世界観
※以下はYouTubeによる予告編です。
独自評価・分析
ストーリー
(2.5点)
映像/音楽
(3.0点)
キャラクター/演技
(3.0点)
メッセージ性
(2.0点)
構成/テンポ
(2.5点)
総合評価
(2.6点)
ロードムービー×バディコメディとして王道の枠組みは押さえているものの、物語の起伏は既視感が強く、ドラマ的なカタルシスは控えめ。突発的なトラブルを連鎖させる設計は楽しい反面、目的地に向かう動機以外の厚みが薄く、ストーリーは2.5点と厳しめの評価に。
映像/音楽は3.0点。ロケーションの変化と車移動の疾走感は十分に伝わり、要所での選曲もテンポを後押し。ただし映像設計で特筆すべき独創性までは届かず、平均的な水準にとどまります。
キャラクター/演技は3.0点。正反対の二人のケミストリーは確かで、掛け合いの瞬間火力は高い一方、感情線の掘り下げが浅く、後半に向けた関係性の変化がやや薄味。メッセージ性は2.0点で、“家族のもとへ急ぐ”という動機以上のテーマ展開は控えめです。
構成/テンポは2.5点。ギャグの反復とエピソードのばらつきで中盤が間延びしがち。全体としてはライトに楽しめるが、コメディとして記憶に残るキラーフックが少なく、総合2.6点という評価に落ち着きました。
3つの魅力ポイント
- 1 – 正反対コンビの化学反応
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几帳面で神経質なピーターと、自由奔放で突飛な行動ばかりのイーサン。性格も価値観も真逆の二人が一緒に旅をすることで生まれる化学反応が、この映画最大の魅力です。観客は「こんな組み合わせがどうなるのか?」というワクワク感を持って最後まで楽しめます。
- 2 – トラブル連鎖によるドタバタ展開
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車の事故や思わぬ出会い、常識外れの行動など、次々と襲いかかるトラブルの連鎖がロードムービーらしい疾走感を演出しています。観客は予測不能の展開に笑いながらもハラハラし、飽きることなく物語に引き込まれます。
- 3 – コメディと家族ドラマの両立
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全体はコメディ調で進みますが、ピーターが「妻の出産に立ち会う」という切実な目的を抱えているため、家族への想いや人間的な成長を描くドラマ要素も含まれています。単なるドタバタ劇に終わらず、観終わった後に少し温かい気持ちが残るのも魅力の一つです。
主な登場人物と演者の魅力
- ピーター・ハイマン(ロバート・ダウニー・Jr.)
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妻の出産に立ち会うために奔走する建築家。冷静で神経質な性格がトラブルを招きやすい一方、ロバート・ダウニー・Jr.の持つ知的で皮肉っぽい魅力がキャラクターに深みを与えています。彼の演技はシリアスとコメディのバランスをうまく取り、観客を引き込みます。
- イーサン・トレンブレー(ザック・ガリフィアナキス)
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俳優志望の風変わりな青年。突拍子もない行動と天然ボケが次々と問題を起こしますが、ザック・ガリフィアナキスの独特の存在感が笑いを生み出しています。『ハングオーバー!』シリーズで培ったコメディセンスを本作でも存分に発揮し、相棒役との対比が鮮やかです。
- サラ・ハイマン(ミシェル・モナハン)
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ピーターの妻で出産を控えている女性。出番は多くありませんが、家庭的な安心感と現実的な存在として物語に重みを与えています。ミシェル・モナハンの落ち着いた演技が、ピーターの奔走に説得力を持たせています。
- ダリル(ジェイミー・フォックス)
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ピーターの友人で、彼とサラの過去に関わりのある人物。短い出演ながらジェイミー・フォックスの存在感が際立ち、物語に意外性と奥行きを与えます。大物俳優ならではのカリスマ性が光る役どころです。
視聴者の声・印象













こんな人におすすめ
逆に避けたほうがよい人の特徴
シリアスな人間ドラマや社会派テーマを期待している人
伏線回収や深いストーリー性を重視する映画が好みの人
コメディのドタバタ要素や過剰なギャグが苦手な人
テンポの速い展開やトラブル連鎖に疲れてしまう人
主演俳優のキャラクター性に馴染めないと感じる人
社会的なテーマや背景との関係
『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』は、一見するとドタバタのロードコメディに過ぎないように見えますが、そこには現代社会に通じるいくつかのテーマが潜んでいます。まず象徴的なのは「時間に追われる現代人の焦燥感」です。ピーターが直面するのは、仕事と家庭の両立という普遍的な課題であり、出産という人生の節目に間に合わせたいという切実な思いは、多忙な生活を送る人々の共感を呼びます。
さらに物語の軸には「異質な他者との共生」があります。ピーターとイーサンは価値観も生活スタイルも正反対ですが、道中で強制的に関わらざるを得ない状況に置かれることで、互いに不快感を抱きつつも少しずつ歩み寄っていきます。これは、多文化社会や多様なバックグラウンドを持つ人々と共に生きる現代の姿を、コミカルにデフォルメしたものだと解釈できます。
また、作中で繰り返し描かれるトラブルや予測不能の出来事は、グローバル化や経済不安定の時代における「予測できない社会」を映しているとも言えます。予定通りに進まない人生をどう受け止めるのか――その答えは劇中で明確に語られるわけではありませんが、ピーターの焦燥とイーサンの奔放さの対比が、社会における合理主義と自由奔放さの葛藤を象徴しています。
そして忘れてはならないのが、家族というテーマです。ピーターが突き動かされる最大の理由は「妻と子ども」への思いであり、どれだけ苛立ちや困難があっても、その目的が揺らぐことはありません。ここには、アメリカ映画にしばしば見られる「家族の再確認」という価値観が反映されています。笑いに包まれた物語の裏に、現代社会が抱える緊張感と普遍的な人間関係の大切さが透けて見えるのです。
映像表現・刺激的なシーンの影響
『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』は、基本的にコメディ作品であるため、映像表現は派手なアクションや芸術的な映像美よりも、ロードムービーらしい移動シーンと日常的なトラブルの描写に重点が置かれています。車での長距離移動を通じて映し出されるアメリカ各地の風景は、広大さや多様性を感じさせるものであり、観客に「旅をしている感覚」を自然に与えてくれます。
一方で、刺激的なシーンとしてはスラップスティックなドタバタや軽い暴力表現が散見されます。殴り合いやケンカの場面もありますが、あくまでもコメディの範疇に収まっており、過度に残虐な描写はありません。むしろ予想外の展開による笑いを誘うための演出が中心です。性的な表現についても控えめで、過激さはほとんどなく、万人が比較的安心して観られる内容になっています。
演出面では、キャラクターのリアクションを強調するカメラワークや、唐突に巻き起こるハプニングをテンポよく切り取る編集が印象的です。とくにイーサンの奇行がクローズアップされる場面では、観客の笑いを最大限に引き出すような構図や間が効果的に使われています。また、音楽はシーンに合わせた軽快な選曲が多く、ユーモアを際立たせる役割を果たしています。
ただし、コメディゆえに過剰にデフォルメされた表現が苦手な人にはやや騒がしく感じられるかもしれません。刺激的なシーンといっても、あくまで笑いを目的とした安全な演出であることを理解して視聴すると、より気軽に楽しむことができるでしょう。
関連作品(前作・原作・メディア展開など)
『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』は、単独の物語であり、直接の前作や原作に基づいた作品ではありません。ただし、監督を務めたトッド・フィリップスの過去作と密接に関連付けて語られることが多いのが特徴です。
特に『ハングオーバー!』シリーズは、本作と同じくトッド・フィリップスが手がけ、ザック・ガリフィアナキスも主要キャストとして出演しているため、監督の持ち味やコメディ演出の系譜を知る上で参考になる存在です。観客の中には「イーサンというキャラクターが『ハングオーバー!』のアランを思わせる」と感じる人も少なくありません。
また、主演のロバート・ダウニー・Jr.は『アイアンマン』や『アベンジャーズ』シリーズなどで知られていますが、本作ではスーパーヒーローのような派手な役ではなく、等身大の父親像を演じている点でキャリア上のコントラストが際立っています。
そのため、シリーズ作品としての「観る順番」は特に存在しませんが、監督やキャストの他作品を先に観ておくと、演技の振れ幅やコメディ演出の特徴をより楽しむことができるでしょう。
類似作品やジャンルの比較
『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』が好きなら、ロードトリップ×バディ/トラブル連鎖の文脈で次の作品もおすすめ。共通点と相違点を簡潔にまとめます。
- 『大災難P.T.A.』:正反対の二人が旅する王道バディ×ロード。共通点はトラブル連鎖と不器用な友情、相違点は本作のほうが毒気と現代的な皮肉が強め。
- 『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』:監督つながりでドタバタの質感が近い。共通点は無自覚に事態を悪化させる騒動劇、相違点はこちらが群像の大騒ぎ/本作は二人旅にフォーカス。
- 『なんちゃって家族』:擬似家族でのロードコメディ。共通点は移動中のトラブルとボケ突っ込みの応酬、相違点は犯罪要素の濃さと“家族”ギャグの比率。
- 『泥棒は幸せのはじまり』:巻き込まれ型の相棒コメディ。共通点は相性最悪コンビの珍道中、相違点は金銭トラブル中心で社会皮肉がやや強め。
- 『リトル・ミス・サンシャイン』:家族ロードの名作。共通点は移動が育む関係性の変化、相違点は本作よりもドラマ性・余韻が濃いハートフル寄り。
- 『RV』:家族旅行のトラブルコメディ。共通点は“移動×ハプニング”のテンプレ快感、相違点はファミリー色が強く毒気は控えめ。
「これが好きならこれも」:軽快な騒動劇が好き→『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』/王道の相棒ロードが好き→『大災難P.T.A.』/家族要素で温かく締めたい→『リトル・ミス・サンシャイン』。
続編情報
続編情報はありません。
事前調査の範囲では、公式発表・制作中の報道・信頼できる業界情報はいずれも確認できませんでした。非公式の憶測やファン間の話題は見受けられるものの、現時点で続編のタイトル・公開時期・制作体制に関する確度の高い情報は出ていません。
今後、監督・主要キャストの新規プロジェクト発表やスタジオのラインナップ更新により状況が変わる可能性はあります。アップデートが確認でき次第、情報を反映します。
まとめ|本作が投げかける問いと余韻
『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』は、単なるドタバタのロードムービーにとどまらず、人と人との出会いが人生をどう変えるのかを問いかける作品です。予定外のトラブルや予測不能なハプニングの連続は、観客に笑いを提供しながらも、人生そのものの不確かさを象徴しています。
主人公たちがたどる道程には、苛立ちや衝突がありつつも、次第に友情や信頼が芽生えていく過程が描かれています。それは「人は困難を共に乗り越えることで、本当の関係を築いていく」という普遍的なメッセージを伝えているようです。特に主人公が抱える家族への思いと、新たな命を迎える責任感は、物語の根幹を支えるテーマとして強く響きます。
本作を見終えた後には、「予定調和ではない人生にどう向き合うのか」という問いが残ります。予定外の出来事に直面したとき、それを拒むのではなく受け入れ、ときに笑いに変えて進むことが、人生をより豊かにするのではないか。そのような余韻を残し、観る者に温かさと同時に深い思索を促す作品となっています。
ネタバレ注意!本作の考察(開くと見れます)
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『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』における最大のポイントは、予定外の出来事や「偶然」によって人生が方向づけられていく様を描いていることです。物語中に散りばめられた伏線は、単なるドタバタ劇ではなく、主人公が父親になる自覚を芽生えさせるための試練として機能しているように見えます。
特に、旅の途中での数々のトラブルは、喜劇的な演出の裏に「制御不能な現実」を象徴していると考えられます。これは、新しい命の誕生がもたらす未知の未来を予感させるものであり、観客に「どんな準備をしても予測不能なことは起きる」という真実を伝えているのです。
また、主人公と同行者との関係は、対照的な性格が衝突しながらも互いに学び合い、成長していく物語構造を持っています。ここには「人は自分とは異なる存在との関わりによってのみ自己を拡張できる」という裏テーマが潜んでいるといえるでしょう。
最後に描かれる家族との再会や新しい命の誕生は、これまでの混乱や困難がすべて「必要だった出来事」であるかのように収束します。その結末は予定不調和の連続を肯定するものであり、観客に「人生の予測不能さを受け入れることの大切さ」を改めて考えさせる余韻を残しています。
ネタバレ注意!猫たちの会話(開くと見れます)
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