『オペレーション・フォーチュン』とは?|どんな映画?
『オペレーション・フォーチュン』は、スパイ映画のスリルと軽快なユーモアを融合させた、スタイリッシュなアクション・エンターテインメントだ。
世界規模の陰謀を阻止するため、型破りな諜報員チームが極秘ミッションに挑むという王道のスパイ設定を軸にしながらも、本作の特徴はそのテンポの良さと遊び心にある。緊迫感のある作戦行動の合間に挟み込まれる皮肉混じりの会話や、どこか肩の力が抜けたキャラクター造形が、シリアス一辺倒になりがちなスパイ映画とは異なる印象を与えてくれる。
銃撃戦や追跡劇といった見せ場はしっかり押さえつつ、過剰に重くなりすぎない語り口のため、アクション映画に慣れていない人でも入り込みやすい構成になっているのもポイントだ。一言で表すなら、「気負わず楽しめる大人向けスパイアクション」と言えるだろう。
基本情報|制作・キャスト/受賞歴・公開情報
| タイトル(原題) | Operation Fortune: Ruse de Guerre |
|---|---|
| タイトル(邦題) | オペレーション・フォーチュン |
| 公開年 | 2023年 |
| 国 | アメリカ/イギリス |
| 監 督 | ガイ・リッチー |
| 脚 本 | ガイ・リッチー、アイヴァン・アトキンソン、マーン・デイヴィス |
| 出 演 | ジェイソン・ステイサム、オーブリー・プラザ、ジョシュ・ハートネット、ケイリー・エルウィス、ヒュー・グラント |
| 制作会社 | Miramax、STXfilms、Toff Guy Films |
| 受賞歴 | 特筆すべき映画賞の受賞はなし |
あらすじ(ネタバレなし)
世界中の安全保障を揺るがしかねない極秘兵器の流出が発覚する。事態を重く見た諜報機関は、腕は確かだが協調性に難のあるエージェント、オーソン・フォーチュンを中心とした特別チームを招集する。
フォーチュンたちに課せられた任務は、国際的な武器ブローカーの動きを追い、兵器が取引される前に阻止すること。しかし相手は裏社会に精通した曲者で、正攻法だけでは尻尾すら掴めない状況に陥っていく。
そこでチームが考え出したのは、ある意外な人物を作戦に巻き込むという大胆な計画だった。スパイ活動とは無縁の世界から連れてこられた存在が、ミッションの行方を大きく左右していくことになる。
果たして彼らは、この危険な駆け引きを制し、世界的な危機を未然に防ぐことができるのか。軽妙なやり取りと緊張感が交錯する中で、物語は予測不能な方向へと転がり始める。
予告編で感じる世界観
予告編からまず伝わってくるのは、本作が「スパイ映画の緊張感」と「洒落たコメディ感」を同時に走らせるタイプだということ。銃撃や潜入といったミッション要素は王道なのに、登場人物の顔つきや間の取り方がどこか軽やかで、シリアスに寄りすぎない空気が漂っている。
舞台は国境をまたいで移動し、豪奢な場所から裏の匂いがする現場まで、コントラストの効いたロケーションが次々と切り替わる。高級感のある装いと、危険な取引の匂いが同居することで、世界の「きれいな表」と「汚い裏」が一枚の画の中でぶつかり合う――そんなスパイものらしい魅力が見える。
そしてもう一つの鍵が、“作戦に似合わない要素”をあえて混ぜていく遊び心だ。緊迫した任務のはずなのに、どこかズレた人選や段取りが顔を出し、そのズレが結果的にテンポの良い痛快さにつながっていく気配がある。真面目すぎないのに、ちゃんと危険――このバランス感覚が予告編の時点でしっかり伝わってくる。
※以下はYouTubeによる予告編です。
本編視聴
独自評価・分析
ストーリー
(3.0点)
映像/音楽
(3.5点)
キャラクター/演技
(3.5点)
メッセージ性
(2.0点)
構成/テンポ
(3.5点)
総合評価
(3.1点)
総合評価は3.1点。スパイアクションとしての“手堅さ”はある一方で、物語の新鮮味や強い余韻という面では伸びきらず、厳しめに採点した。
ストーリーは、極秘任務→潜入→駆け引きという流れが分かりやすく、初見でも置いていかれにくい。ただし展開は比較的読みやすく、驚きや深掘りよりも「段取りの巧さ」で押し切るタイプなので3.0点に留めた。
映像/音楽は、ロケーションや小道具、衣装の“艶”が効いていて、軽快なトーンと相性が良い。アクションも過剰に盛りすぎず見やすい作りで3.5点。
キャラクター/演技は、クールさとコミカルさのバランスが魅力。掛け合いでテンポを作る力があり、チームものとしての楽しさが出ている点を評価して3.5点にした。
一方メッセージ性は、テーマを強く打ち出すより“娯楽としての快感”を優先している印象。軽妙さは長所だが、観終わった後に残る問いは薄めなので2.0点。
構成/テンポは、会話劇と作戦の進行がテンポ良く繋がり、退屈しにくいのが強み。反面、山場の手触りが均一で「ここが決定打」と言えるピークは弱め。それでも全体の運びの良さで3.5点とした。
3つの魅力ポイント
- 1 – 肩の力を抜いて楽しめるスパイアクション
-
世界の危機や極秘任務といった題材を扱いながらも、物語のトーンはどこか軽やか。シリアス一辺倒にならず、皮肉やユーモアを挟み込むことで、スパイ映画にありがちな重苦しさを感じさせない。アクション映画に慣れていない人でも、構えずに入り込めるのが大きな魅力だ。
- 2 – 個性で引っ張るチームプレイ
-
完璧なヒーローではなく、癖の強いメンバーが集まったチーム構成が物語を前に進める。冷静沈着な人物、ズレた感覚を持つ人物、場違いに見える存在までが噛み合い、会話の応酬そのものが見どころになっている。作戦の成否以上に「このメンバーがどう動くか」を楽しめる点が印象的だ。
- 3 – 洗練されたビジュアルとテンポ感
-
豪華なロケーションやスタイリッシュな衣装が画面を引き締め、観ているだけでスパイ映画らしい高揚感を与えてくれる。場面転換や会話の間も軽快で、物語が停滞しにくい構成。大きな驚きよりも、テンポ良く最後まで走り切る心地よさが、この作品の持ち味と言える。
主な登場人物と演者の魅力
- オーソン・フォーチュン(ジェイソン・ステイサム)
-
冷静沈着で仕事は完璧、だが人付き合いは得意ではない諜報員。無駄を削ぎ落とした立ち居振る舞いと寡黙な存在感が、キャラクターの職人気質を際立たせている。ジェイソン・ステイサムの持つ硬質な雰囲気が、そのまま説得力につながり、「この男なら任務を遂行するだろう」と自然に納得させる。
- サラ・フィデル(オーブリー・プラザ)
-
チームの頭脳役であり、皮肉と知性を武器に場をかき回す存在。淡々とした口調の中に鋭さと遊び心を混ぜ込む演技が印象的で、シリアスな場面でも独特の緊張感を生む。オーブリー・プラザの飄々とした個性が、作品全体のトーンを軽やかにしている。
- ダニー・フランチェスコ(ジョシュ・ハートネット)
-
スパイとは無縁の世界から作戦に関わることになる人物で、物語にズレと面白さを持ち込む役どころ。状況に振り回される戸惑いと、徐々に巻き込まれていく姿を自然体で演じており、観客が感情移入しやすい視点を担っている。
- グレッグ・シモンズ(ヒュー・グラント)
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表向きは紳士的だが、一筋縄ではいかない武器ブローカー。軽妙な語り口と胡散臭さを併せ持つ存在感が強烈で、登場するだけで場の空気が変わる。ヒュー・グラントならではの洒脱さが、敵役でありながら印象に残るキャラクターに仕上げている。
視聴者の声・印象





こんな人におすすめ
逆に避けたほうがよい人の特徴
重厚で骨太なスパイサスペンスを求めている人。
物語に強いどんでん返しや深いテーマ性を期待している人。
アクションの迫力や規模感を最優先で楽しみたい人。
シリアスな緊張感が最後まで途切れない作品を好む人。
キャラクターの軽口やユーモア要素が気になってしまう人。
社会的なテーマや背景との関係
『オペレーション・フォーチュン』は、娯楽性を前面に出したスパイアクションでありながら、現代社会が抱える不安や構造を下敷きにしている。物語の軸となるのは、国家の枠を軽々と飛び越えて流通する違法な兵器や情報であり、それを巡って動くのは政府だけでなく、民間のブローカーや裏社会の人間たちだ。
ここで描かれる世界は、「善と悪がはっきり分かれた冷戦型スパイ映画」とは異なる。国家がすべてを掌握しているわけではなく、むしろ資本や個人の欲望が国境を曖昧にしていく現代的な状況が強調されている。誰が味方で誰が敵なのか分かりにくい構図は、現実社会における国際問題や経済犯罪とも重なって見える。
また、本作では「正義のために行動する」という建前よりも、「任務として淡々と処理する」という姿勢が目立つ。これは、理想論よりも結果や効率が優先されがちな現代社会の価値観を反映しているとも言える。登場人物たちは世界を救う英雄として描かれるというより、巨大な仕組みの中で仕事をこなす専門職として振る舞う。
一方で、重たい現実を真正面から告発する作品ではない点も重要だ。深刻になりすぎず、ユーモアを交えながら描くことで、「現代は危ういが、それでも人は軽やかに生き延びようとする」という距離感を保っている。この軽さこそが、本作が社会的なテーマを扱いながらもエンタメとして成立している理由だろう。
つまり本作は、社会問題を鋭く切り取る映画ではないが、不安定で複雑な世界を前提とした“今どきのスパイ像”を提示している。そのさりげなさが、現実とのつながりを感じさせつつも、観る側に余計な負担をかけないバランスを生んでいる。
映像表現・刺激的なシーンの影響
『オペレーション・フォーチュン』の映像表現は、過度なリアリズムよりも洗練された“見せ方”を重視している。ロケーションは高級感のある都市やリゾート地、裏社会を感じさせる閉鎖的な空間まで幅広く、場面ごとに色味や照明を切り替えることで、スパイ映画らしい非日常感を演出している。
アクションシーンでは、銃撃や格闘が描かれるものの、残酷さを強調するような描写は控えめだ。カメラワークも過剰に揺らすことは少なく、何が起きているのかを把握しやすい構成になっている。そのため、刺激はあるが観ていて疲れにくいアクションという印象が強い。
音響や音楽も、緊張感を煽りすぎない点が特徴的だ。重低音で圧迫するというより、リズム感のある楽曲や静かな間を活かし、会話や駆け引きを際立たせている。これにより、映像と音が一体となってテンポの良さを支えている。
刺激的な要素としては、暴力表現や裏社会の描写が一定程度含まれるが、ホラー的な恐怖や強い残虐表現、過度な性的描写は見られない。あくまでエンターテインメントとして整理された範囲に収まっており、視聴後に強い不快感が残るタイプの作品ではない。
ただし、スパイ映画らしく銃や犯罪行為が頻繁に登場するため、そうした要素が苦手な人は注意が必要だ。一方で、刺激の強さを期待しすぎると物足りなさを感じる可能性もある。過激さよりもスタイルやテンポを楽しむ心構えで観ると、本作の魅力がより伝わりやすいだろう。
関連作品(前作・原作・メディア展開など)
『オペレーション・フォーチュン』は、いわゆる「シリーズの前作」や「原作小説」を前提にした作品ではなく、オリジナル脚本として作られたスパイアクションだ。つまり、予備知識なしでいきなり本作から観ても問題なく、観る順番に悩む必要はない。
一方で“関連”という観点では、本作がガイ・リッチー監督とジェイソン・ステイサムのタッグ作品である点が大きい。両者はこれまでも複数作品で組んでおり、軽妙な会話のテンポや、洒落た悪党、スタイリッシュな画作りといった要素に「この組み合わせならでは」の味が出やすい。本作でも、任務の緊迫感とユーモアの同居が強く打ち出されているため、タッグ作品の延長線として楽しめる。
また制作面のトピックとして、本作は公開前の段階で別のタイトルで呼ばれていた時期があり、企画・制作の過程で作品名が変遷したことが知られている。こうした背景は、作品の「外側」にある情報ではあるが、流通や公開形態が揺れやすい現代の映画産業の空気感を感じさせるポイントでもある。
原作付き作品のように「映画と原作の違い」を比べる楽しみは少ない反面、映画としてのテンポ、キャラクターの掛け合い、アクションの見せ方など、“映像作品としての完成形”に集中して味わえるタイプだ。スパイ映画の入口としても、肩肘張らずに観られる一本になっている。
類似作品やジャンルの比較
『オペレーション・フォーチュン』は、「スパイ×アクション」に、ガイ・リッチーらしい軽妙な会話と洒落たテンポを混ぜたタイプの作品だ。ここでは同ジャンル/近い味わいの作品を挙げつつ、共通点と違いを簡潔に整理する。
『ミッション:インポッシブル』が好きなら:同じく“極秘任務を遂行するスパイアクション”だが、こちらは大規模スタントや緊迫感を積み上げる方向。『オペレーション・フォーチュン』は、世界の危機を扱いながらもユーモアの比重が高く、肩の力を抜いて観やすい。
『キングスマン』が好きなら:スパイ要素に遊び心やスタイリッシュさを加える点が近い。『キングスマン』は漫画的に“盛る”快感が強いのに対し、『オペレーション・フォーチュン』は、もう少し大人っぽい軽口と駆け引きでテンポを作る印象だ。
『コードネーム U.N.C.L.E.』が好きなら:おしゃれな画作り、洒脱なノリ、相棒(チーム)感が刺さる人には相性が良い。どちらもスパイものを硬派にしすぎず、キャラの掛け合いで“味”を出すタイプ。ただし『オペレーション・フォーチュン』は現代寄りで、任務の段取りとズレた人選の面白さが軸になる。
『スパイ』が好きなら:スパイ世界を題材にしつつ、笑いで押し切る方向性が近い。ただし『スパイ』はコメディの比率が高く、ギャグの勢いで楽しむ作品。『オペレーション・フォーチュン』はアクションと会話のバランス型で、“ほどよく笑えてほどよく危険”な温度感が持ち味だ。
まとめ:重厚な陰謀劇というより、スタイルとテンポで楽しむスパイアクション。派手さやシリアスさを最優先するなら別の選択肢もあるが、「スパイものを気軽に楽しみたい」「キャラの掛け合いが好き」という人には“これが好きならこれも”の入り口になりやすい。
続編情報
続編情報はありません。
※現時点で信頼できる形で確認できる情報がないため上記の記載としています。今後、公式発表などで状況が変わる可能性はあります。
まとめ|本作が投げかける問いと余韻
『オペレーション・フォーチュン』を観終えたあとに残るのは、世界の危機を描いた大作を観たときの重たい余韻というより、軽やかに駆け抜けた一本の娯楽作を楽しんだ感覚だ。深刻な題材を扱いながらも、あえて深刻になりすぎない距離感を保ち、スパイ映画というジャンルを肩肘張らずに味わわせてくれる。
本作が投げかけてくる問いは、決して哲学的でも社会派でもない。ただ、「世界を動かすほどの仕事であっても、それを担うのは結局クセのある個人たちなのではないか」という感覚が、キャラクター同士のやり取りを通して滲み出てくる。英雄として描かれるのではなく、仕事として任務をこなす人間たちの姿が、どこか現代的だ。
ストーリーに大きなどんでん返しや衝撃的な結末を求めると物足りなさは残るかもしれない。しかしその分、会話のテンポやチームのズレ、洒落た雰囲気といった細部が心地よく、観ている時間そのものが楽しい。終わったあとに「疲れた」ではなく、「もう一本軽く観られそうだ」と思わせる後味は、本作ならではの魅力だろう。
派手さや重厚さよりも、スタイルとテンポを重視したスパイアクション。その選択がはっきりしているからこそ、好みは分かれるが、ハマる人にはちょうどいい温度感が残る。『オペレーション・フォーチュン』は、スパイ映画を気負わず楽しむための一作として、観終えた後もふとした時に思い出されるタイプの作品だ。
ネタバレ注意!本作の考察(開くと見れます)
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本作の物語を振り返ると、最大のポイントは「任務の成功」そのものよりも、誰がどの立場で駒として使われ、誰がその盤面を俯瞰していたのかという構造にあるように思える。表向きはフォーチュン率いるチームが主導権を握っているように見えるが、実際には複数の思惑が重なり合い、主導権は絶えず揺れ動いている。
特に印象的なのは、スパイ活動と無縁だった人物が作戦の“鍵”として機能していく点だ。これは偶然ではなく、「合理性だけでは世界は動かない」という示唆にも読める。完璧な計画や訓練よりも、人の欲望や虚栄心、承認欲求といった人間臭い要素が、結果的に事態を動かしていく。
敵役についても、単なる悪として描かれていないのが興味深い。彼らは混乱を楽しみ、ルールの隙間で利益を得る存在であり、国家や正義といった枠組みから自由だ。その姿は、現代社会における「責任の所在が曖昧な権力」の比喩としても読み取れるだろう。
また、フォーチュン自身も感情を表に出さないプロフェッショナルとして描かれるが、完全な無機質ではない。仲間との距離感や判断の揺らぎからは、「任務をこなす機械になりきれない人間性」が垣間見える。この抑制された感情表現こそが、本作のトーンを支える重要な要素だ。
結末を踏まえて考えると、本作は「世界は救われたのか?」という問いよりも、「このやり方は、これからも繰り返されるのではないか」という余韻を残す。問題は解決されても、構造は変わらない。その循環を軽やかに描いている点が、シリアスになりきらない本作らしさであり、観る側に想像の余地を残している。
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