『ペット2』とは?|どんな映画?
『ペット2』は、2019年に公開されたイルミネーション・エンターテインメント制作の長編アニメーション映画で、都会のペットたちが繰り広げる笑いと冒険の物語です。
前作『ペット』の続編として、飼い主と動物たちの絆、仲間同士の友情、そしてペットたちが直面する“家族としての成長”を温かく描いています。舞台はニューヨーク。見慣れた街並みの中で、犬や猫、ウサギなど多彩なキャラクターが個性豊かに動き回る姿が魅力です。
本作は、前作の「飼い主が留守中にペットたちは何をしているのか?」というアイデアをさらに発展させ、登場キャラクターたちが新しい出会いや冒険を通して成長していく姿を描いた作品。ユーモアとスリル、そして心温まるメッセージが融合した、家族みんなで楽しめるファミリーアニメです。
一言で言うなら、“ペットたちの愛と勇気が輝く、にぎやかでハートフルなアドベンチャー”。
基本情報|制作・キャスト/受賞歴・公開情報
| タイトル(原題) | The Secret Life of Pets 2 |
|---|---|
| タイトル(邦題) | ペット2 |
| 公開年 | 2019年 |
| 国 | アメリカ合衆国 |
| 監 督 | クリス・ルノー |
| 脚 本 | ブライアン・リンチ |
| 出 演 | パットン・オズワルト、ケヴィン・ハート、エリック・ストーンストリート、ジェニー・スレイト、ティファニー・ハディッシュ ほか(日本語吹替:設楽統、日村勇紀、中尾隆聖、永作博美ほか) |
| 制作会社 | イルミネーション・エンターテインメント/ユニバーサル・ピクチャーズ |
| 受賞歴 | 特筆すべき主要映画賞での受賞はないが、家族向けアニメとして興行的成功を収め、全世界興収4億3,000万ドル超を記録。 |
あらすじ(ネタバレなし)
飼い主ケイティと幸せに暮らす犬のマックスは、新しい家族として赤ちゃんリアムを迎え、初めての「お兄ちゃん」として奮闘する日々を送っています。ところが、リアムを守るあまり神経質になってしまい、ちょっとしたことにも不安を感じるように…。そんなマックスを心配した仲間のデュークやギジェット、スノーボールたちが、それぞれの冒険へと旅立っていきます。
都会の喧騒を離れ、田舎で出会う牧羊犬ルースターとの出会い。強くたくましく生きる彼との交流を通して、マックスは「勇気を持つこと」の本当の意味を学んでいきます。一方で、ギジェットはマックスのお気に入りのおもちゃを取り戻すために奮闘し、スノーボールはスーパーヒーロー気取りで新たなミッションに挑みます。
ペットたちの“日常”の裏に広がる、ちょっとした冒険と成長の物語。果たしてマックスたちは、大切な家族を守りながら、自分自身を乗り越えることができるのでしょうか?
予告編で感じる世界観
※以下はYouTubeによる予告編です。
本編視聴
独自評価・分析
ストーリー
(3.0点)
映像/音楽
(3.5点)
キャラクター/演技
(3.5点)
メッセージ性
(3.0点)
構成/テンポ
(3.0点)
総合評価
(3.2点)
ストーリーは家族や成長を軸に複数のサブプロットを並走させますが、主題の焦点が散りやすく、起伏もやや既視感が強め。安心して楽しめる一方、物語の推進力や驚きは控えめなため3.0点としました。
映像は都市と田園のコントラスト、毛並みや質感表現、テンポよく挿入されるアクションの見せ方が優秀。音楽も軽快でシーンを心地よく押し出すため3.5点と評価。
キャラクターはマックスやギジェット、スノーボールといった人気面子が安定して魅力を発揮。サブキャラの使い切れない場面もあるものの、声の芝居がコミカルさを底上げして3.5点。
メッセージ性は「不安との向き合い方」「家族の成長」という普遍テーマをやさしく提示。深掘りは浅めで余韻は短いが、子どもにも届くわかりやすさが長所で3.0点。
構成/テンポは小気味よく見やすい反面、複線の回収が直線的でピークの厚みが不足。笑いのリズムは良好だが、全体のカタルシスは限定的で3.0点としました。結果、5軸の平均で総合3.2点です。
3つの魅力ポイント
- 1 – 成長と家族愛の物語
-
マックスが「守る」ことから「信じる」ことへと成長していく姿は、親子や家族の関係にも重なります。ペットたちの視点を通して描かれる家族愛が温かく、観る人の心をほっとさせる魅力があります。
- 2 – 個性豊かなキャラクターたち
-
臆病だけど優しいマックス、豪快なデューク、ヒーロー気取りのスノーボール、愛らしいギジェットなど、登場キャラクターの個性がしっかり立っています。それぞれの小さな冒険が並行して描かれ、テンポよく笑いを生み出しています。
- 3 – カラフルで心弾む映像美
-
都会の高層ビルや田舎の牧場など、舞台が変わるたびに色彩や光の表現が一新され、視覚的な楽しさが途切れません。イルミネーション・スタジオらしい明るくポップな色使いが、全編を通してワクワク感を演出しています。
主な登場人物と演者の魅力
- マックス(声:パットン・オズワルト/日本語吹替:設楽統)
-
シリーズの中心となるテリア犬。前作では神経質で嫉妬深い面が強調されていましたが、本作では家族を守る優しさと勇気が加わり、より人間的な成長を見せます。パットン・オズワルトの温かみある声が、マックスの不安と決意を繊細に表現しています。
- スノーボール(声:ケヴィン・ハート/日本語吹替:中尾隆聖)
-
元・過激なリーダーから、今回は“正義のヒーロー”を名乗るコミカルなウサギへと転身。ケヴィン・ハートのテンションの高い声と、日本語版での中尾隆聖の圧倒的な存在感が絶妙にかみ合い、ユーモアと勢いを生み出しています。
- ギジェット(声:ジェニー・スレイト/日本語吹替:永作博美)
-
ふわふわのポメラニアンで、マックスに恋するお嬢様キャラ。おもちゃを救うため奮闘する彼女の姿はコメディの中でも特に印象的です。ジェニー・スレイトの軽やかで愛らしい声と、永作博美の上品さがキャラクターに深みを与えています。
- ルースター(声:ハリソン・フォード/日本語吹替:内田直哉)
-
田舎の牧場で出会うベテラン牧羊犬。厳しくも温かい存在としてマックスに“恐れを超える勇気”を教えます。ハリソン・フォードの渋い声と存在感が、アニメの中でも異彩を放ち、物語に深みと説得力を与えています。
視聴者の声・印象





こんな人におすすめ
逆に避けたほうがよい人の特徴
ストーリーに深いドラマ性や社会的メッセージを求める人。
刺激的な展開やサスペンス的要素を期待している人。
キャラクターの成長よりもストーリーの一貫性や重厚さを重視する人。
子ども向けのテンションやギャグ要素が苦手な人。
前作『ペット』を観ていないため、キャラクター同士の関係性にピンとこない人。
社会的なテーマや背景との関係
『ペット2』は一見すると単なる動物たちのドタバタコメディですが、その根底には「家族の形の変化」や「不安社会における心の成長」といった現代的テーマが流れています。前作では“飼い主とペットの関係”が中心でしたが、本作では子どもの誕生による家庭の変化、過保護や責任感といった人間社会にも通じる心理が描かれています。
特にマックスの「守りたい」という気持ちが強すぎて心配性になる姿は、現代の親や保護者の姿そのもの。過剰な不安を抱えることの苦しさ、そしてそれを乗り越えて“信じて見守る勇気”を学ぶ過程は、育児や教育にも通じるメッセージとして共感を呼びます。
また、都会から田舎への移動を通して描かれる自然と共存する価値観や、ルースターの「恐れることを恐れるな」という言葉には、現代社会のストレスや過干渉への警鐘が込められています。マックスの変化は、現代人が抱えるプレッシャーを軽やかに象徴しているとも言えるでしょう。
さらに、スノーボールやギジェットのサブストーリーでは、それぞれが「自分の役割」を見つけ出すことの大切さが語られています。これは職場やコミュニティにおける多様性や自己肯定感の重要性とも重なります。キャラクターたちが自分の限界を超えて挑戦する姿は、社会の中で生きる私たちの小さな勇気を肯定してくれるようです。
総じて『ペット2』は、子ども向けの作品でありながら、現代社会の「不安」「責任」「信頼」といったテーマをやわらかく包み込み、世代を超えて共感できる“社会の縮図”として機能しているのです。
映像表現・刺激的なシーンの影響
『ペット2』はイルミネーション・エンターテインメントらしい、ポップで明るい色彩設計と滑らかなアニメーションが特徴的です。都会のビル群の光や田舎の自然光が美しく描かれ、シーンごとに照明のトーンを巧みに変えることで視覚的なテンポを作り出しています。映像のコントラストが強めで、スクリーンを通じて“生命感”や“温かさ”が感じられるのが大きな魅力です。
特に、マックスとルースターが牧場で奔走するシーンは圧巻で、風や埃の動き、動物たちの毛並みの質感など、リアルさとアニメ的デフォルメのバランスが絶妙です。また、ギジェットが猫の群れに潜入するシーンやスノーボールのアクションシーンなどでは、カメラワークの躍動感が際立ち、子どもでも楽しめる“軽快なアクション映画”のような仕上がりになっています。
刺激的な表現については非常に穏やかで、暴力・性的・ホラー的な描写は一切なし。アクションの緊張感はありますが、あくまでコミカルな範囲に収まっており、小さな子どもでも安心して観られる構成です。恐怖を煽る演出や過激な描写が排除されている点は、ファミリー向け作品としての安心感を支えています。
音響面では、BGMがテンポよく展開し、シーンの雰囲気を的確に盛り上げています。都会では軽快でポップなリズム、牧場では柔らかいアコースティック調と、舞台に合わせて音のトーンを変化させており、視聴者を自然に場面へ誘導します。また、声優陣の演技と効果音の編集も緻密で、ペットたちの動きや感情がより豊かに伝わります。
全体として、『ペット2』の映像表現は“目にも心にも優しい”。過剰な刺激が苦手な人や、小さな子どもと一緒に観る人にとっても安心できる内容です。一方で、アニメーション技術の高さや細部の演出に注目すれば、大人でも十分に楽しめる“映像的完成度の高いファミリーアニメ”と言えるでしょう。
関連作品(前作・原作・メディア展開など)
『ペット2』はオリジナル企画の長編アニメで、いわゆる“原作小説やコミック”は存在しません。シリーズとしては、まず前作となる『ペット』が土台にあり、ニューヨークで暮らすペットたちの関係性や世界観が確立されました。観る順番は「『ペット』→『ペット2』」が推奨で、キャラクター同士の距離感やちょっとしたフラグがスムーズに入ってきます。
短編のスピンオフ群も存在します。たとえば『Super Gidget』はギジェットを主役に据えた短編で、長編本編では描ききれない一面をコミカルに補完。ほかにも『Norman Television』『Weenie』など、キャラクターの小さな日常や騒動を切り取ったミニエピソードが複数制作されています。これらは本編視聴必須ではありませんが、キャラの魅力を深掘りする“おかわり”的コンテンツとして楽しめます。
メディアミックスとしては、ユニバーサル・スタジオのアトラクション『The Secret Life of Pets: Off the Leash!』が運営されており、映画でおなじみの街並みやキャラクターたちの世界を体験型で味わえます。モバイルゲーム『The Secret Life of Pets: Unleashed』などのゲーム展開も行われ、映画→短編→アトラクション/ゲームと、多面的に世界観が拡張されています。
原作がないからこそ、シリーズを通しての“キャラの積み重ね”が楽しみの核。まずは『ペット』で出会いを確認し、『ペット2』でマックスたちの成長や関係の深化を追う――そんな流れで触れていくと、小ネタや掛け合いの妙がより豊かに伝わるはずです。
類似作品やジャンルの比較
『ペット2』と同じく動物たちの視点で描かれる作品としてまず挙げられるのが『ズートピア』です。こちらは社会風刺を織り交ぜた群像劇で、よりメッセージ性が強い構成。一方『ペット2』はコメディ要素が中心で、日常の延長線にあるドラマとして親しみやすく仕上がっています。
また、『SING/シング』も同じイルミネーション・スタジオによる作品で、キャラクターたちの夢や挑戦を明るく描いている点が共通しています。両作とも音楽とテンポの良い編集が特徴で、ファミリー層に向けた「ポジティブでエネルギッシュな世界観」が貫かれています。
『PAW パトロール:ザ・ムービー』も比較対象として興味深く、チームワークとヒーロー性を前面に出した構成が『ペット2』のスノーボールのサブプロットと重なります。より低年齢層に向けた構成ですが、可愛らしいアクションと明快な展開は共通の魅力です。
加えて、『ファインディング・ドリー』や『トイ・ストーリー』など、仲間同士の絆や冒険を描いたシリーズとも親和性があります。『ペット2』が日常から一歩踏み出す勇気を描くのに対し、これらの作品は未知の世界へ飛び込むスケール感を強調しており、“日常の中の冒険”と“非日常の冒険”という対比で観ると面白さが増します。
総じて、『ペット2』は“かわいいだけじゃない動物アニメ”というジャンルの中で、笑い・テンポ・映像の軽やかさが光る一本。明るく楽しいアニメが好きな人には、『ズートピア』『SING/シング』『PAW パトロール:ザ・ムービー』などを併せて観ると、世界観の違いがより鮮やかに感じられるでしょう。
続編情報
『ペット2』の続編として、現在『The Secret Life of Pets 3(ペット3)』が開発中であることが報じられています。Illumination(イルミネーション・エンターテインメント)のCEOによるインタビューで、シリーズ第3作の企画が進行中であることが明言されており、脚本案も複数存在しているとされています。
現時点では公式の公開日や正式タイトルは未発表ですが、前作同様にクリス・ルノー監督とイルミネーション制作チームが関与する見込みです。キャストについても、マックス役のパットン・オズワルトやスノーボール役のケヴィン・ハートら主要声優陣が続投する可能性が高いと噂されています。
公開時期は未定ながら、同スタジオが『ミニオンズ』や『SING/シング』シリーズと並行して制作を進めているため、今後の発表が期待されています。正式な発表やティザーが公開され次第、詳細が明らかになる見込みです。
シリーズの流れとしては、『ペット』→『ペット2』→『ペット3(仮題)』という順序になる予定で、マックスたちのさらなる成長と新しい冒険が描かれると予想されています。
まとめ|本作が投げかける問いと余韻
『ペット2』は、ただの動物コメディにとどまらず、「恐れをどう受け入れ、どう乗り越えるか」という普遍的なテーマを優しく描き出した作品です。マックスが抱える不安、ルースターから学ぶ勇気、仲間たちが見せる絆――それらは私たち人間が日々向き合う感情と重なります。笑いと冒険の裏に、成長や自己肯定のメッセージが確かに息づいています。
家族を守ろうとする気持ちは誰にでもありますが、その優しさが過剰になれば不安へと変わる。本作では、その繊細なバランスをマックスの心情を通して見せてくれます。ルースターが教える「恐れを恐れるな」という言葉は、単なる励ましではなく、現代社会で生きる多くの人へのエールとして響くでしょう。
また、スノーボールやギジェットたちのサブストーリーが、物語全体に軽やかなリズムとユーモアを与えています。それぞれが「自分の居場所を見つける」ために奮闘する姿は、ペットという小さな存在の中に宿る“生きる力”を象徴しており、観る者に前向きな気持ちを残します。
映像的にも、都会と自然、騒がしさと静けさのコントラストが印象的で、マックスの心の変化を丁寧に支えています。光や音楽のトーンが穏やかに変化しながら、観る人を最後まで安心感のある空気で包み込みます。その優しさこそが『ペット2』の真の魅力です。
エンドロール後には、もう一度ペットたちの日常を覗きたくなるような幸福な余韻が残ります。恐れながらも前に進むこと、守るだけでなく信じること――そのシンプルで力強いメッセージが、観た人の胸に静かに灯り続けることでしょう。
ネタバレ注意!本作の考察(開くと見れます)
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『ペット2』の物語の中心にあるのは、マックスの“恐れ”とその克服です。この恐れは単なる性格的弱点ではなく、家族を想うあまりに生まれた「過保護」という愛の形として描かれています。マックスがリアムを守ることに執着する姿は、親や保護者が抱える「手放すことへの不安」の象徴でもあり、子どもの成長と共に変わる親の心を比喩的に表しています。
ルースターとの出会いはその象徴的転機です。彼はマックスに「恐れることを恐れるな」と伝え、過剰な保護心から“信頼する勇気”へと導きます。この言葉は、現代社会で多くの人が抱えるプレッシャーや不安の解放を意味しており、ペットたちの冒険を通じて“人間の心のリハビリ”を描いた寓話とも言えます。
また、サブストーリーとして描かれるギジェットやスノーボールの活躍も、マックスの成長と呼応しています。ギジェットは愛する人のために奮闘し、スノーボールは理想のヒーロー像を追いかける――それぞれが「自分の役割」を見出す姿は、個の自立と仲間の支え合いをテーマにした多層的な構造を作り出しています。
興味深いのは、マックスの恐れが完全に消えるわけではなく、むしろそれを“受け入れる”形で物語が終わる点です。恐れを克服するのではなく共存する――それは人生における成熟の形であり、ペットという無垢な存在を通して描かれることで、より穏やかに観客の心に届きます。
結末では、マックスがリアムの成長を見守る姿が映し出されますが、そこには“手放す勇気”という大きなテーマが静かに込められています。愛する存在を信じ、恐れを抱えながらも一歩を踏み出す――その姿こそが『ペット2』の真のメッセージであり、観る人それぞれの人生にも優しく寄り添う余韻を残します。
ネタバレ注意!猫たちの会話(開くと見れます)
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